ブラックジャックの心の変化

ブラックジャックに直接ついた研修医は、私が初めてらしい。

「今まで、研修医が下に付くことなんてなかったんだよ、だから、接し方がわからなくって」

と言いつつ、ほとんど付きっきりで様々なことを教えてくださった。

入院患者だけではなく、コンサルト症例や、外来での各種検査、外来まで、ありとあらゆるところに研修医を連れて行き、一緒に検査をし、考えさせてくれた。今日も、他科の患者のコンサルトに一緒に行ってくれた。

もっと一緒に働きたいと思う先生であった。
私も、下に研修医がついたら、あのくらい教えられる上級医になりたい。

ブラックジャックは、エコーガイド下のCV穿刺を教えることに需要がありそうだ、ということに気付いたらしい。
ブラックジャックも、研修医も、4月には新天地に移動してしまうのだが、ブラックジャックは新天地で、エコーガイド下CV挿入の講習会を開催したいと思っているらしい。なので、資料をコツコツ作ったり、指導者になるための講習を予約したりし始めた。研修医が今までどうやってCV挿入教育を受けてきたのかや、院内にいる上手い先生は誰か、などなど、研修医に聞いてきた。ブラックジャックは、彼なりに何かに目覚めたようであった。

「専門医なんてさ、何の役にもたたないでしょ。役に立たない資格取って、どうするの。エコーガイド下CV挿入の指導医資格の方が、よっぽど役立つわ。」

指導医というステータスが欲しいのではなく、ただ単に講習会を開いて皆に教えたいという、単純極まりない信念のもと、行動しているようである。

ブラックジャックには、指導者としての適性があるのだと思う。